キッズデザイン図鑑
Vol.04
衣服内温度計 「らん’sナイト」
<第2回キッズデザイン賞>
大賞・経済産業大臣賞
受賞作品
子どもを産み育てるためのデザイン
子どもの安全・安心の向上のためには、子どもを見守る視線と同時に子どもを健全に産み育てる環境を支援することも大切です。キューオーエル株式会社の「らん’s ナイト」は、子どもを産み育てる女性の健康に徹底的にこだわった製品。仕事を続けながら、子どもを産み育てる現代の女性を応援したいという思いから、開発が行われました。
女性の基礎体温を計る器具は多数発売されています。しかし、そのほとんどが毎朝同じ時間に口中の体温を測定するものです。この方法は女性にとってかなりのストレスとなり、測定を続けることを止めてしまう大きな理由になっていました。こうした問題点を解決するために、8年もの歳月を要し製品開発が行われたのです。開発の際に特に力を入れたのは検証データで、14歳〜48歳の女性モニターから、医学的にも十分な裏付けのあるデータを丁寧に採取し続けました。そうした努力の成果として、「らん’s ナイト」は誕生したのです。
この商品は、寝巻きやジャージの腰の位置に取り付けるだけで就寝中に自動的に測定してくれる衣服内温度計。女性たちの物理的負担を大幅に軽減します。測定したデータは簡単にQRコード化され携帯電話で読み取ることができます。さらに読み取ったデータはサーバーに送られ、時系列で基礎体温が管理できるセルフケアに最適な製品なのです。
女性の健康な体を維持していくために
現代、3〜4人に1人は女性特有の健康トラブルの予備群と言われ、月経困難症による経済的損失は、ある試算によると年間1兆円と考えられています。背景には社会環境だけでなく、女性の生涯の月経回数の変化が挙げられます。昔の女性は出産の回数が多かったことや初潮が遅かったことなどから、生涯の月経回数が50回くらいでした。現代の女性の生涯の月経回数は500回くらいもあり、昔に比べ10倍に増えています。基礎体温を継続して測定することは、妊娠や不調を認識するためだけでなく、健康な体をコントロールしていくためにも必要なことなのです。
「この器具を作ったことで、これまで調べることができなかった女性の健康データや生活データを得ることができるようになりました。その情報を分析し、女性に役立つアウトプットができれば、それが私の仕事だと思います」と語る社長の宮島正子氏。これからの取り組みにさらなる期待が高まります。