キッズデザイン図鑑
Vol.12
お子様連れ配慮商品
<第4回キッズデザイン賞>
最優秀賞(ソーシャルキッズプロダクツ部門)
少子化対策担当大臣賞受賞作品
子育て経験にもとづくこだわり
子どもを連れて外出する際、外出先のトイレに対し不満を抱くことはありませんか?例えば、おむつ交換台がない、おむつ交換台はあるが奥行きがなく使いづらい、母親がトイレに行きたくても個室にベビーカーを置けるスペースがないなどさまざまな問題点が挙げられます。そこで、TOTO株式会社では、レストルーム、パブリックゾーンにおけるトイレの未来の定番をつくるというコンセプトのもと「レストルームアイテム01」を開発しました。
デザイナーの矢部信弘氏は、このプロジェクトが始まる際、生後3ヶ月ほどの子どもをもつパパでした。子育て経験を積みながら、実体験をもとに研究を開始。特に、子どもにとって居心地よく、安心できるデザインを念頭に置き試行錯誤を繰り返しました。ベビーシートは、シート部分にクッション材を二重に使用することで、子どもを柔らかく包み込むデザインを実現。常に子どもを目の届く場所に置き、いたずらをさせない工夫をするなど親の安心に繋げました。さらに、シート部分のクッション材は継ぎ目が無いので掃除も簡単。ほかにも、子どもの誤飲を防ぐために、極力ねじをなくすなど細部にわたる工夫を施しました。
公共の子育て支援環境をサポート
また、ベビーチェアは外出時の場合、子どもは靴を履いたまま足を入れさせることがほとんどです。足を入れる部分を大きくしながらも、座面のスペースも安定したサイズにするなどバランスを意識したデザインに。座面には、靴の汚れを防止する工夫も加えました。フィッティングボードは、子どもを立たせたままおむつを交換ができるシステムです。極限まで薄く壁に収まり、床面に設置する足を収納式にすることで、汚れた面が表面に見えない配慮を。おむつ交換台は、一緒に入った母親のストッキング交換にも使えるなど幅広い利用が可能です。
公共での子育て支援についての課題が取り沙汰される昨今、毎日使うトイレの問題を解決した好例といえます。パーソナルユースではない製品は、建築空間と一体感があり、空間と調和していることが大切。さらに時代の必須項目ともいえるユニバーサルデザイン、エコへの意識したデザインに仕上げています。今後このような取り組みがさまざまな公共施設で展開されることで、育児ママ、育児パパにやさしい環境が整備されていくこととなるでしょう。