2022.10.3|セミナー活動

オンラインセミナー再録「キッズデザイン × 法政大学 SDGs+プロジェクト 」~後編~

キッズデザイン協議会SDGsプロジェクトでは、
会員企業様からSDGsについてより理解を深めていきたいという要望を受け、
「キッズデザイン × 法政大学 SDGs+プロジェクト ~キッズデザインに取り組むことはSDGsに取り組むこと~ 」をテーマにセミナーを企画いたしました。
残念ながら当日ご視聴いただけなかった方にも内容を共有するべく、当日の内容を前編、中編、後編と三本立てとし公開いたします。


小谷) 自社の活動をSDGsにつなげるにはどうしたら良いか、模索している企業も多いと思う。本日の講演で、SDGsへの貢献の可能性に気付いた方も多いのではないだろうか。
そこで、川久保先生にローカルSDGsを進めるきっかけや、その地域の方々と一緒に取組むための方法やコツがあれば教えていただきたい。

(川久保) 少子高齢化は、全国共通の課題と言ってもいい。一方で、地域によって抱える課題は異なる。その課題が顕在化していれば、それに合った技術やアイデアで解決が図れるが、気付いてさえいないケースも多い。この時に有効なのが共通言語となるSDGsだ。
地域の長所や短所(課題点)を可視化できる「ローカルSDGsプラットフォーム」というサイトを運用しているが、「あなたのまちではSDGsの〇番において、他の地域よりも課題が多いようです」といったふうに今後、顕在化すると思われる課題を提示し、その解決に向けて一緒に取組もうとアプローチしている。
また、まちづくりに取組む際は、子どもの存在が非常に重要だと思う。
例えば、ある町でSDGsを知っていただこうと思って町内の数カ所で大人たちを対象とした勉強会を開いたことがあったものの、認知の広がり方は限定的であった。そこで、アプローチ方法を変えて小中学校で学生達を対象としたSDGsの勉強会を開いた。結果的に、その後その町には一気にSDGsの認知が広がった。子どもたちが家で、今日はこんなことを学んだと、ご家族にSDGsの概要やその重要性を伝えてくれたのがその理由である。

(小谷) 川久保先生には15回分のキッズデザイン賞をAIで分析したものをご用意いただいた。

(川久保) 文章の中身を理解してその記述内容がどのSDGsのゴールに関連があるか自動判別するAIを用いて分析したもの。AIで2021年度のキッズデザイン賞受賞作品データを分析し、レーダーチャートを作ってみた。下図は2007年度のキッズデザイン賞奨励賞までの40件ほどを分析したもの。また、SDGsの何番に関連しているか、棒グラフに落とし込んでいる。



河﨑さんの講演でレーダーチャート「スズメの滑降型」が紹介されたが、AI分析した2021年度のレーダーチャートを作ってみた。AIが客観的に分析しても、同じような形になったのは、面白い結果だった。一方で、AIの学習データの中に「デザイン」という言葉が少なかったためか、ゴール12番が低く出ているように見える。


下図は2007年度の第1回から2021年度の第15回まで分析し、前期(1〜5回)、中期(6〜10回)、後期(11〜15回)に分けて棒グラフにしてみたもの。


受賞者が意図しているか不明だが、後期になるほどSDGsとの紐付けが多くのゴールでも強くなっているのがわかる。母数が極端に増えているというわけでもないため、応募作品の紹介文がより社会問題解決を意識した文章になっていると読む解くことができる。非常に面白い結果だった。

(河﨑) 社会の動きを捉えた非常に興味深い分析だと思う。私たちが行った分析は、文章にはない、開発者の思いを読み取るものだった。

(川久保) AIによる分析と人による分析の両方を見ることは重要だろう。人には誰しもバイアスがある。AIも学習させるデータ次第でバイアスが発生する。両者の結果を突き合わせることで新たな気づきが得られる。そのような気づきを開発者にフィードバックすれば新たな動きを生むかもしれない。
キッズデザインのデータを専用に学習させたAIを用意し、そこに毎年応募作品の情報を蓄積していけば、今よりもさらに精緻な分析ができるようになると思う。人間もAIも、サステナブルデザインもキッズデザインもスパイラルアップして、結果的に子どもをはじめとする世の中全体に優しいデザインの実現につながっていけば理想的である。

(小谷) 企業が川久保先生のローカルSDGsとコラボレーションできそうなことはあるだろうか。

(河﨑) 企業と大学のパートナーシップは、win-winの関係だと思っている。企業の研究力や財力と、地域に溶け込むことを得意とする大学、学生。私どもが地域でヒアリングをする際は、必ず大学と一緒に研究をすることにしている。17番のパートナーシップが一番力を発揮できるのは企業×大学ではないかと思う。

(川久保) 私もそう思う。大学(の研究室)は毎年新しい学生が入ってきて新陳代謝が早いのが特徴。学生達が次々と新しいアイディアを創出してくれる。一方でそのアイディアを社会実装する力は企業ほど持ちあわせていない。そこで、0を1にするのは大学、1を100にするのは企業というように、両者が協働してシームレスにつながるのが理想。

(小谷) 様々なパートナーシップの進展を期待したい。会場にいる学生の皆さんで質問があれば是非。

(学生) 数年前にバリアフリーデザインが流行っていたが、バリアフリーデザインとの違いを教えてほしい。

(河﨑) バリアフリーデザインもユニバーサルデザインも、建築分野では大切にされていた。バリアフリーは障害を取り除く意味だが、誰にも使いやすいデザインがユニバーサルデザイン。サステナブル、SDGsは世界中で取り組もうという大きなもので、包括されたイメージ。
しかし、子どもやシニアの安全、あるいは障害状態に対するデザインは、継続して研究が進んでいる。SDGsとは別に、そういった状態に対応できる設計、まちづくりは進んでいる。

(川久保) ユニバーサルデザインとかインクルーシブルデザインとかたくさんあってわかりにくいかもしれないが、要はどこに重きを置くかだと思う。キッズデザインは、子どもとそれを支える人、さらに次世代に重きを置いている。時間軸を意識しているため、SDGsとの親和性が非常に高いのではないかと思う。

(河﨑) 未来に託す、まさに時間軸の考え方。一方で、バリアフリーは今の状態を改善するためのデザインが多い。

(小谷) 今後、SDGsのどのゴールに力を入れていきたいか、それはどのような視点からかをお伺いしたい。

(川久保) 建築とまちづくりを専門にしているため、11番(まちづくり)、12番(つくる責任つかう責任)を中心に、4番(教育)、9番(研究開発)、7番(パートナーシップ)などに取組みたい。重視するのは、「思いやり」の気持ち。キッズデザインにしても、ユニバーサルデザインにしても、インクルーシブルデザインにしても、すべて重要なのは思いやりだと思っている。使う人のことを考えたデザインが浸透すれば、誰もが使いやすい製品やサービスに溢れ、住みやすい社会になる。SDGs×キッズデザインにより、真のサステナブル社会が実現されることを期待したい。

(河﨑) 「人に優しくしよう」というキーワードをお伝えしたい。SDGsとはそういうものだと思っている。 自分が頑張りたいのは、8番の「働きがいも経済成長も」。企業にとって8番、9番は非常に大事。コロナ禍で働き方が大きく変わったが、働き方を変えながら、働く人も幸せになる。人に幸せや社会の幸せがその先にあり、盛り上げていくジャストな時代になっているのではないかと思う。

(終わり)