【こどもOS研究会】創成期:第3回ワークショップ「『気づき』からのデザイン 〜感覚を開き、脳を開く〜」開催報告
プレイフル・デザイン・スタジオ(PDS)は2009年3月13日(金)、應典院(大阪市)にて、第3回ワークショップ「『気づき』からのデザイン 〜感覚を開き、脳を開く〜」を開催しました。
おとなのフィルターを外し、日常に潜む可能性を発見する
ユニバーサル・デザインに基づく体験や、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませる触覚体験を導入し、参加者自身の感覚を開放し、子どもの頃の記憶を再生させる試みが行われました。
念入りな事前検討が生んだ「触覚体験」

参加者が箱の中の未知の素材を触り、その感触から得られた「気づき」を言語化し、最終的にその気づきを空間創造へとつなげるプロセスが設計されました。
この「気づき」を深掘りするため、「こどもOS研究会」は、ファシリテーターの田中賢准教授(日本福祉大学)と協力し、数回にわたる触覚体験のミニ演習を重ねて、素材の選定とワークのプロセスを念入りに検討しました。

事前検討で試行・決定された素材(抜粋)
・第4回研究会: 参加者が持ち寄ったマシュマロ、キーウィ、焼き海苔など多様な素材をテスト
・第5回研究会(素材最終決定): ブロッコリ、水溶き片栗粉、毛糸玉(ホッカイロ入り)、乾燥タピオカ、石(卵形・球形)、腕用浮き輪(魚のフィギュア入り)

これらの多岐にわたる素材選定のプロセスは、「感触」から抽象的な「気づき」を引き出すための、ワークの精密な設計と入念な準備を象徴しています。

【考察1】「気づき」から生まれた空間提案

触覚体験を通して得られた「気づき」から、参加者によって具体的な空間提案へと発想が広げられました。これは、単なる感覚の共有に留まらず、その本質的な価値を抽出して、実社会の課題解決や新しい価値創造に活かすという「こどもOS研究会」の活動目的を体現する成果となりました。


参加者からの空間提案(抜粋):
(「触る」「嗅ぐ」「味わう」といった五感に訴えかける体験を重視した提案)

・高層ビルの屋上に設置された滝の流れる露天風呂でリラクゼーション
(非日常的な開放感と、水や自然の感触を組み合わせたリラックス空間の提案)
・銀行や役場でのイライラする待ち時間を解消してくれるリラックスソファー
(日常の不快な「気づき」を解消し、心理的なゆとりを生み出す空間要素の提案)
・アリやモグラなどが地下空間を移動する感覚を模した地下鉄空間の構造
(「地下」という空間に対する新しい身体感覚や、子どもの視点での移動体験を取り入れた提案)

【考察2】究極のリアルタイム・ドキュメンテーション
曽和先生のドキュメンテーションチームは、単に活動を記録するだけでなく、ワークショップ中の各グループの発言や言動を速記者がその場でパソコンに打ち込み、そのデータを集約・分析することで、ワークショップ全体の流れをメタ的に俯瞰することを試みました。


このアプローチは、活動終了と同時に、参加者全員がその動画や集約データを鑑賞し、体験を客観視する「リフレクション(省察)」の時間を設けるために不可欠なものです。これにより、参加者はグループの成果に一喜一憂するだけでなく、活動のプロセスそのものから本質的な価値を見極め、体験を確実な知恵として脳に定着させることが可能となりました。

【総括と次への課題】体験を確かな知恵へ

一方で、プログラムの分量に関して「料理の数が多すぎてゆっくりと味わう暇がなかった」「料理の味わい方まで指導されてやらされ感があった」といった、プログラムの設計と、参加者の主体性を引き出すためのファシリテーションに関する反省点も指摘されました。
主催者は、これらの意見を次回のワークショップに反映させ、体験を単なる楽しかった思い出で終わらせず、学びのプロセスをより確実な知恵として定着させるための改善に繋げていくことを誓いました。
主 催
NPO法人キッズデザイン協議会 こどもOS研究会
共 催
應典院寺町倶楽部
こどもOS研究会リーダー
大阪府産業デザインセンター 川本 誓文
積水ハウス株式会社 中村 孝之
ワークショップ ファシリテーション
田中 賢 日本福祉大学 准教授
ドキュメンテーション・リフレクション
曽和 具之 神戸芸術工科大学 准教授
司 会
寺島 正之 パナソニック電工株式会社 デザイン部
ドキュメンテーションスタッフ
柴田あすか 神戸芸術工科大学
佐藤 久恵 神戸芸術工科大学
キーワード記録
多田 静香 同志社女子大学
高橋 信晶 神戸芸術工科大学
竹田 純 神戸芸術工科大学
長岡 真央 神戸芸術工科大学
朝倉 輝味 神戸芸術工科大学
川添 博史 GIS総合研究所
展示協力「触感の環」
西東 理沙 京都精華大学
スタッフ
高瀬 愉理 大和ハウス工業株式会社 総合技術研究所
折目 貴司 大和ハウス工業株式会社 総合技術研究所
川添 博史 特定非営利活動法人 GIS総合研究所
国司 輝夫 特定非営利活動法人 GIS総合研究所
中村 孝之 積水ハウス株式会社 住生活研究所
河崎由美子 積水ハウス株式会社 住生活研究所
篠崎 由佳 積水ハウス株式会社 商品開発部
谷合美哉子 大阪府商工労働部ものづくり支援課デザイン振興G
杉本 清 大阪府産業デザインセンター
川本 誓文 大阪府産業デザインセンター
西村 睦夫 大阪府産業デザインセンター
福嶋 敏三 大阪府産業デザインセンター
キッズデザイン協議会 こどもOS研究会参加企業・団体
大和ハウス工業株式会社
パナソニック電工株式会社
特定非営利活動法人GIS総合研究所
積水ハウス株式会社
大阪府(大阪府産業デザインセンター)
Special Thanks
山口 洋典 應典院 主幹
上田 信行 同志社女子大学 現代社会学部 現代子ども学科 教授
安藤 眞吾 京都精華大学 デザイン学部 プロダクトデザイン学科 教授
茶谷 文子 京都精華大学 デザイン学部 プロダクトデザイン学科 准教授
濱崎 浩 近畿経済産業局産業部流通部・サービス産業課サービス産業室長補佐
横井 泰治 特定非営利活動法人 キッズデザイン協議会 研究開発部長





