2009.7.21|研究開発活動

【こどもOS研究会】創成期:上田信行先生の教え「プレイフル・シンキング」がデザインと人生を豊かにする

プレイフル・シンキング」がデザインと人生を豊かにする


プレイフル・デザイン・スタジオ(PDS)の活動の根底には、一貫して流れる思想があります。それは、生みの親である同志社女子大学名誉教授の上田信行先生が提唱する「プレイフル・シンキング(Playful Thinking)」です。

2009年7月、活動の指針とも言える上田先生の著書『プレイフル・シンキング 仕事を楽しくする思考法』の出版に合わせ、PDSが大切にしている「教え」を伺いました。



【核心】「プレイフル」とは何か?

上田先生は、「プレイフル」を単なる「遊び」ではなく、「物事に対してワクワク・ドキドキする心の状態」と定義しています。
どんなに困難な状況や制約があっても、自分自身や周りの人、あり合わせのモノを最大限に活かして、そこに新しい意味を創り出そうとする本気の姿勢。それがプレイフルな状態です。

Can(できるかどうか)ではなく、How(どうやったらできるか)で考え、「どうやったら実現できるだろう(How can I do it?)」へと変換する思考のスイッチこそが、創造的なデザインの源泉といいます。

【原点】PDSのスタイルを作った「プレイフル・ミーティング」

PDSの前身である2007年の「大阪キッズデザイン検討会」において、座長に就任した上田先生が最初に行ったのは、「会議のあり方」を壊すことでした。

・床に車座で座る: 机をロの字に囲むのではなく、目線を下げてリラックスした環境で対話する。

・模造紙とポストイット: ロール状の模造紙を床に広げ、メタ認知できる環境で思考を共有、みんなで書き込み、編集する。

・お菓子とジョーク: 本音を言える雰囲気づくりで脳をリラックス、「正解」を求めるのではなく「奇想天外なアイデア」を歓迎する。

・ビデオ記録(ドキュメンテーション): 会議に没頭しているが故の記録。その場の熱量やプロセスを可視化し、余韻を楽しむように振り返る。

この、大人たちが真剣に、かつ遊び心を持って取り組むスタイルこそが、現在のPDSやワークショップの「流儀」となり、大人のフィルターを外して「こどもOS」をインストールするための約束事となりました。



【考察】デザインにおける「こどもから学ぶ」意義

上田先生の教えは、「子どもを対象にしたデザイン」を考えること以上に、「大人が子どもから学び、大人自身が変わること」の重要性を説いています。

1.「こどもOS」のインストール: 大人が忘れてしまった子どもの観察力、表現力、そして何にでも没入する力を呼び醒ます。

2.大人の経験知との融合: 子どものように純粋な目線で捉えた発見を、大人の経験と構想力で読み解き、実社会に価値あるものとして具現化する。

3.プロセスの楽しみ: 結果(成果物)だけでなく、そこに至る「ワクワクするプロセス(学習体験)」そのものをデザインする。

【まとめ】おとなも豊かに生きていくために

「こどもOS研究会」の活動は、単なる製品開発のヒント探しではありません。上田先生の教えを通じて、「おとなも豊かに生きていくことができる」社会を目指すものです。

「How can I do it?」と問い続け、未知の課題に対してもドキドキ・ワクワクしながら戦略を練る。上田先生から学んだこのプレイフルな精神こそが、PDSが創造し続ける「未来のデザイン」のあり方なのです。