経済産業省、産業技術総合研究所 人間拡張研究センター、キッズデザイン協議会は
次世代を担う子どもたちを育む環境を創出するため、
2007年より「経営者による意見交換会」を継続して開催しています。
今年度も2023年12月13日にオンラインで実施し、全国から多くの方にご参加いただきました。
残念ながら当日ご視聴いただけなかった方にも内容を共有するべく、当日の内容をレポートとし公開いたします。
【基調講演】
「社会の変化を学ぶ プログラミング教育の今 全新入社員がプログラムングの基礎を持つ時代」
株式会社アントレキッズ 事業責任者
太田可奈氏
■ジブンの“未来”を描くチカラを育む
アントレキッズは東京・恵比寿と三軒茶屋を中心に全国展開するITを活用した実社会型のキャリア教育を実践するスクール。プログラミングやさまざまな動画制作をはじめ、子どもたちが自らの会社を運営するようなカリキュラムを開発し、「子どもたちがジブンの“未来”を描くチカラを育む」プログラムを提供している。
全てのカリキュラムに「稼ぐ体験を通して働く経験」が組み込まれており、スクール内には独自の仮想通貨「エンターコイン」が流通する。子どもたちはミッションを達成するとその対価としてエンターコインを受け取ったり、支払ったりする。企画を立案しプレゼンや価格交渉したり、遠方の教室の生徒とのzoomミーティングやウェブ上に求人票を掲載し面談したり、実社会に近い学びの教室だ。
太田氏は、「ビジネスへの興味や関心を持つためのキャリア教育、ビジネス教育として、このような手法を採用しています」という。
■地域を知る
アントレキッズは、企業とのコラボレーションが盛んだ。
ゲームソフト等の開発・販売をするコナミとのコラボでは、「桃太郎電鉄」のプログラミングイベントを開催している。子どもたちは自分の住む地域の特産物や観光地等から駅やマスを作り、Scratchでプログラムするというもので、これまでに各地で58回開催した。約6000名もの応募があり、その中から約1200名の子どもが参加した人気のコンテンツ。学校の授業にも導入されるなどパッケージ化され、常にブラッシュアップしている。
CM制作では、神奈川県相模原市の大野小学校、教育委員会、ブックオフとアントレキッズが協力して授業として実施した。子どもたちはSDGsやリユースを学び、自由な発想でストーリーを考え、プロの撮影に参加。完成したCMは、保護者や地域住民を招待して試写会を行い、資源回収に繋げた。
この他、凸版印刷や湘南ベルマーレ、SDGs協会、eスポーツ高等学院等、多くの分野の企業・団体と協業し数多くのカリキュラムを展開してきた。
豊富なカリキュラムは、自分が住む地域を知ることと、プログラミングを掛け合わせたもので、子どもたちの「シビックプライド」を醸成する。
シビックプライドとは、郷土愛やまち自慢とは違い、「この地域をより良い場所にするために自分自身が関わっている」「自分がこの地域の未来を作っている」という当事者意識のこと。
「シビックプライドを持つ住人が多い地域は、とても活性化しています」と太田氏は話す。
■ICT教育をデザイン
GIGAスクール構想によって「一人1台端末」の環境が整備され、教育現場における本格活用されているものの、課題に直面している学校が多い。アントレキッズでは、課題に合わせて解決に向けた支援をしている。
ICTの活用方法が分からない等、ビジョンや目的が明確でないケースでは、地域の企業を巻き込んだコラボ授業を構築し、教員に授業の作り方の勉強会を実施。自治体間や学校間の格差、教員のITリテラシーの低さと教員の負担増といった課題には、ICT支援員やICT活用アドバイザー等と連携可能な企業との橋渡しや、授業構築を通して教員のITリテラシー向上を支援するとともに、負担削減に寄与している。
特に高校で必修化されたプログラミング教育の課題は深刻で、高度なスキルが求められるため教員の負担は大きく、担い手が少ない。こうした課題に対しては、専門性が高いエンジニアが多数在籍する企業とサポートしている。
インターネットを介した犯罪等に巻き込まれないためのネットリテラシー教育のほか、安定したネットワーク環境の保持といった課題もある。
ICTを活用するうえでオーバースペックは必要なく、どう活用していくかをデザインすることが重要だという。
■10年後の子どもたち
身近にタブレットがあり、インターネットが当たり前の環境で育ってきた子どもたち。ICTの公教育は十分ではなくても、趣味で映像編集をしたり、ゲーム開発をしたりしている子どもたちも近い将来、社会人となる日が来る。
太田氏は、「このような子たちが社会に出てくるのは、目前です。ぜひ、新卒教育を考えてみてほしいと思います」と、扱い方を考えておく必要があると呼び掛けた。
文:遠藤千春
次世代を担う子どもたちを育む環境を創出するため、
2007年より「経営者による意見交換会」を継続して開催しています。
今年度も2023年12月13日にオンラインで実施し、全国から多くの方にご参加いただきました。
残念ながら当日ご視聴いただけなかった方にも内容を共有するべく、当日の内容をレポートとし公開いたします。
「社会の変化を学ぶ プログラミング教育の今 全新入社員がプログラムングの基礎を持つ時代」
株式会社アントレキッズ 事業責任者
太田可奈氏
■ジブンの“未来”を描くチカラを育む
アントレキッズは東京・恵比寿と三軒茶屋を中心に全国展開するITを活用した実社会型のキャリア教育を実践するスクール。プログラミングやさまざまな動画制作をはじめ、子どもたちが自らの会社を運営するようなカリキュラムを開発し、「子どもたちがジブンの“未来”を描くチカラを育む」プログラムを提供している。
全てのカリキュラムに「稼ぐ体験を通して働く経験」が組み込まれており、スクール内には独自の仮想通貨「エンターコイン」が流通する。子どもたちはミッションを達成するとその対価としてエンターコインを受け取ったり、支払ったりする。企画を立案しプレゼンや価格交渉したり、遠方の教室の生徒とのzoomミーティングやウェブ上に求人票を掲載し面談したり、実社会に近い学びの教室だ。
太田氏は、「ビジネスへの興味や関心を持つためのキャリア教育、ビジネス教育として、このような手法を採用しています」という。
■地域を知る
アントレキッズは、企業とのコラボレーションが盛んだ。
ゲームソフト等の開発・販売をするコナミとのコラボでは、「桃太郎電鉄」のプログラミングイベントを開催している。子どもたちは自分の住む地域の特産物や観光地等から駅やマスを作り、Scratchでプログラムするというもので、これまでに各地で58回開催した。約6000名もの応募があり、その中から約1200名の子どもが参加した人気のコンテンツ。学校の授業にも導入されるなどパッケージ化され、常にブラッシュアップしている。
CM制作では、神奈川県相模原市の大野小学校、教育委員会、ブックオフとアントレキッズが協力して授業として実施した。子どもたちはSDGsやリユースを学び、自由な発想でストーリーを考え、プロの撮影に参加。完成したCMは、保護者や地域住民を招待して試写会を行い、資源回収に繋げた。
この他、凸版印刷や湘南ベルマーレ、SDGs協会、eスポーツ高等学院等、多くの分野の企業・団体と協業し数多くのカリキュラムを展開してきた。
豊富なカリキュラムは、自分が住む地域を知ることと、プログラミングを掛け合わせたもので、子どもたちの「シビックプライド」を醸成する。
シビックプライドとは、郷土愛やまち自慢とは違い、「この地域をより良い場所にするために自分自身が関わっている」「自分がこの地域の未来を作っている」という当事者意識のこと。
「シビックプライドを持つ住人が多い地域は、とても活性化しています」と太田氏は話す。
■ICT教育をデザイン
GIGAスクール構想によって「一人1台端末」の環境が整備され、教育現場における本格活用されているものの、課題に直面している学校が多い。アントレキッズでは、課題に合わせて解決に向けた支援をしている。
ICTの活用方法が分からない等、ビジョンや目的が明確でないケースでは、地域の企業を巻き込んだコラボ授業を構築し、教員に授業の作り方の勉強会を実施。自治体間や学校間の格差、教員のITリテラシーの低さと教員の負担増といった課題には、ICT支援員やICT活用アドバイザー等と連携可能な企業との橋渡しや、授業構築を通して教員のITリテラシー向上を支援するとともに、負担削減に寄与している。
特に高校で必修化されたプログラミング教育の課題は深刻で、高度なスキルが求められるため教員の負担は大きく、担い手が少ない。こうした課題に対しては、専門性が高いエンジニアが多数在籍する企業とサポートしている。
インターネットを介した犯罪等に巻き込まれないためのネットリテラシー教育のほか、安定したネットワーク環境の保持といった課題もある。
ICTを活用するうえでオーバースペックは必要なく、どう活用していくかをデザインすることが重要だという。
■10年後の子どもたち
身近にタブレットがあり、インターネットが当たり前の環境で育ってきた子どもたち。ICTの公教育は十分ではなくても、趣味で映像編集をしたり、ゲーム開発をしたりしている子どもたちも近い将来、社会人となる日が来る。
太田氏は、「このような子たちが社会に出てくるのは、目前です。ぜひ、新卒教育を考えてみてほしいと思います」と、扱い方を考えておく必要があると呼び掛けた。