2024.7.3|研究開発活動

「2024年 キッズデザインミーティング 研究開発部会 研究会・プ ロジェクト」活動発表レポート

活動発表レポート
「2024年 キッズデザインミーティング」
〜研究会・プロジェクト報告〜

2024年6月5日、キッズデザイン協議会の会員企業および団体様と共に多くの業種の方々と交流し、子どもたちの明るい未来を拓き、子どもたちの環境を取り巻く社会がより良いものになるようなオープンイノベーションのきっかけづくりを目指し、キッズデザインミーティングを実施いたしました。

「輝く子どもの未来のために、多様な連携を、今こそ。」と題して、現在活動している5つの研究会のリーダーより2023年度の研究内容及び活動報告、実績などをご報告いただきました。

研究会活動報告
●こどもOS研究会 / 川本 誓文氏(公益財団法人大阪産業局)
●こまもりプロジェクト/森口 優子氏(コンビウィズ株式会社)
●インクルーシブ・キッズデザイン プロジェクト/中村 奈津枝氏(東京大学大学院)
●標準化検討部会・認証事業報告 / 高橋 義則氏
(ユニバーサルデザイン総合研究所 / 標準化検討部会主査 理事 )
● 西日本情報交換会 / 中尾 榛奈氏(NPO法人Deep Pepole)



キッズデザイン協議会について

キッズデザイン協議会では、日々変化する子育て環境の社会的課題・解決から協議会会員が抱える共通の課題に向けて会員自らが研究会や情報収集をたちあげ、運営している。
「業界横断的にオープンイノベーションを行うことで新たなキッズキッズデザインの開発や子供たちの 明るい未来に繋げていきたい」とキッズデザイン協議会 専務理事 安好 寿也の冒頭の挨拶から始まった。

【研究会活動のご紹介】

発表者:キッズデザイン協議会 理事 / 研究開発部会長 舟生 岳夫氏(セコム株式会社)

子どもの安全・安心・健やかな成長・発達を目指すキッズデザイン協議会では4つの活動を行っている。
・懸賞事業(キッズデザイン賞)
・広報事業(展示、ワークショップ、表彰式・WEBサイト等)
・認証事業(安全性を高めるプロセスを認証するCSD認証)
・調査研究事業(研究会・プロジェクト、セミナー・交流会等)

子どものためにいいものを作ることを目的に、1つの会社では出来ないことを様々な業界・業種の異なる人たちが集まり活動している。

「研究会・プロジェクトは、いつからでもご参加いただけます。
まずはオンラインで見学・体験オブザーブが可能ですので、”こんな事をやってみたい!”という方はぜひ研究会までご連絡ください」と舟生氏は呼びかける。

キッズデザイン協議会における調査研究事業

こどもOS研究会

発表者:川本 誓文(公益財団法人大阪産業局)
メンバー:積水ハウス株式会社、株式会社ジャクエツ、コクヨ株式会社、NPO法人
GIS総合研究所、和田デザイン事務所、生活空間研究所

2008年から関西を拠点に活動しており、子どもの安全・安心に関する研究および、企業のための商品開発に関するアイデア発想法の研究を続けている。
子どもが我を忘れて遊びに夢中になっている状態の振舞いを「こどもOS」と呼び、22個の行動言語(こどもOSランゲージ)を定義した。

本研究では、キッズデザイン協議会が所有する「キッズデザインデータベース」子どもの事故情報、約3万3000件から5000件を抽出し、事故の統計的分析を行った。

調査結果として、子どもの事故は転倒・転落が上位を占め、75%が家庭内で起こっていることが分かった。
さらに、事故と子どもOSの関係性を調査したところ、約30%が子どもOS由来の事故で、誤飲・転落/堕落が上位という傾向が分かった。

子どもの事故の兆候(行動特性)が分かることで事故を未然に防ぐことができるため、それらを研究報告書にまとめている。

●研究報告書の全文(PDF)は下記ページ下部によりダウンロード可能

こまもりプロジェクト

発表者:森口 優子氏(コンビウィズ株式会社)
メンバー:セコム株式会社、ミサワホーム株式会社、秋草学園短期大学

子育てに関する情報はインターネットや育児本など誰でも膨大な情報を入手することができるが「保護者は適切な情報が得られているのか?」という疑問からプロジェクトを発足。

親が必要する、子育てに役立つ情報や子どもに与えたい製品・サービスなどの情報を整理することを目的とし、子育て中の親が必要としている情報やその入手方法など、アンケートや調査を行い、体系化して子育てのための情報を与える場を提供することを目指して活動している。

また、”企業が独自に子育て情報を発信している情報がエンドユーザーに伝わっていないのでは?”という課題を解決することも目的としている。


2018年〜活動を開始以降、座談会開催、アンケートの実施、日本子育て学会での発表、有識者セミナーの実施などを進めてきた。
2023年以降は、企業が発信している子育て情報を少しでも広くエンドユーザーに届けることを目的とした”キッズデザインマガジン”の掲載にも力を入れ始めた。
2024年は、子育てにおける書籍に関するアンケート調査を行い、日本子育て学会での成果発表を予定。引き続き、こまもりプロジェクトの活動報告と子育て情報はキッズデザインマガジンに掲載していく。


インクルーシブ・キッズデザイン プロジェクト

発表者:中村 奈津枝氏(東京大学大学院 / 教育学研究科付属 バリアフリー教育開発 センター)
メンバー:ADKマーケティング・ソリューションズ、フレーベル館、東京大学 教育学研究科、
LIXIL住宅研究所、コクヨ株式会社

世の中には、言語や文化、ジェンダーや性的指向・性自認、ジェネレーション、障害の有無など様々な心のバリアがある。子どもたちが多様性と出会い、理解し、受け入れることを通じ、少しでも「心のバリア」を生まない、もしくは取り除くために何が必要かを考え広めていくために活動をしている。

2022年度は「アウトプットイメージを明確にした上で、当事者を知る活動をする」という目的のもと、当事者を知るための2つの取材とプロジェクト内でのワークショップを開催。
その中で、「もっと網羅的に当事者を知る必要がある。障害の種類やその人の特性を理解するにはどうすればいいのか?」という課題にぶつかる。



そこで、2023年以降は”広く一般の企業(企業人)に向けた活動をする”という目的を決め、企業人が本業を通じてインクルーシブに深く共感し社会作りをするためのアクションを起こすきっかけになる活動を決めた。

マイノリティ(当事者)の違いによって課題を整理して、キッズデザイン賞の受賞作品の中からインクルーシブな活動をピックアップして取材し発信することとした。

取材した内容を踏まえ、様々なマイノリティ(当事者)について、様々な場面での課題を整理し多岐に渡り、環境側に色々な心のバリアがあることが分かる。

2024年は引き続き、キッズデザイン賞受賞作品の取り組みをインクルーシブデザインの観点から取材、活用内容などをキッズデザインマガジンで発信、会員向けの講演会やワークショップなども予定している。


標準化検討部会・認証事業報告

発表者:高橋 義則氏(ユニバーサルデザイン総合研究所 / 標準化検討部会主査 理事 )

キッズデザインの考え方を製品やサービスの開発に生かし、子どもの安全性向上を図るために、JISやISOなどの規格の策定を目指す「キッズデザインの標準化活動」に取り組んでいる。

その中で、凸凹のある製品・品質を一定の基準まで持っていき子ども安全事業のボトムアップを目指す【標準化事業】と、キッズデザイン賞を通して素晴らしい作品を社会に発信していく【認証事業】がある。

ライフスタイルが変化し、インフラが増えると共に新しい事故が起こりうる。同じ原因による子どもの事故を繰り返さないために協議会における標準化の活動は重要なポジションにあると考えている。


様々な人間工学の中で、子ども達の身体的な特徴や行動特性を鑑みて、”子どもの安全確保の指針”としてガイド50を制定。
そして、子どもの安全安心の向上を目的とする任意の第三者認証制度として「キッズデザインガイドライン」に定める各プロセス項目を実際に遵守したかどうかを審査するCSD(Child Safetythrough Design)認証の仕組みを作った。

2023年度は、CSD認証登録企業5社全社についてSNSやプレスリリースなどを通して認証を取得していること、認証の更新を行ったことを発信し、CSD認証の認知拡大、新規企業の誘致を行った。

今後は、ガイド50を更に見直しをしていく予定。


西日本情報交換会

発表者:中尾 榛奈氏(NPO法人Deep Pepole)

キッズデザイン協議会の社会的役割である「さまざまな企業・団体によって構成されるキッズデザイン協議会の業界横断的なネットワークにより、 子どもを取り巻く環境改善を加速させ、調和の取れた社会を目指す」ことを、西日本エリアにおいて実現することを目的に西日本世話人会を発足。

今後は、セミナー開催や交流会などを通してキッズデザインの視点について学ぶ機会の提供や、展示会開催などキ ッズデザインの広報・啓発活動に取り組んでいく予定。
また、西日本を中心にメンバーとして活動できるメンバーも随時募集している。



以上、研究会活動報告レポートとなります。
キッズデザイン協議会では、今回の研究会の他に、日本子育て学会の学会の先生方と連携し活動している研究会もあります。研究会には年度途中でもご参加いただけるのでご興味ある方は事務局までご連絡ください。


文章:池尻浩子