キッズデザイン・ラボ

子どもの発達とチャイルドロックについて―第1回事故ひやりはっと事例の分析― 株式会社ジャクエツ/大和ハウス工業株式会社/東京ガス株式会社/TOTO株式会社/パナソニック株式会社/パナソニック電工株式会社/ミサワホーム株式会社/三菱電機ホーム機器株式会社/森ビル株式会社

キッズデザイン協議会の調査研究事業の一環、会員提案型プロジェクトの「子どもの発達とチャイルドロックについて」研究会(リーダー:(株)ジャクエツ、メンバー:大和ハウス工業(株)、東京ガス(株)、TOTO(株)、パナソニック(株)、パナソニック電工(株)、ミサワホーム(株)、三菱電機ホーム機器(株)、森ビル(株))は、2008年に活動を開始しました。
昨年度は、経済産業省の平成22年度「キッズデザイン製品開発支援事業」共創プロジェクトに採択され、「『チャイルドロック』設計のための子どもの操作能力の研究」を行いました。

はじめに

2011年9月27日から、従来の使い捨てライターの販売が禁止されました。子どもの使い捨てライターの誤使用による火災を防ぐために、子どもが操作しにくい機能(チャイルドレジスタンス機能)を搭載した商品でないと、今後は販売できません。

子どもの不慮の事故は数多く起きています。特に低年齢児では家庭内の事故が多く起きていますが、それらの中には上記のライターのようにチャイルドロックで防げるものも多いのではないかと、着目しました。
ここでチャイルドロックとは、電化製品や自動車など、様々な製品にあらかじめ盛り込まれている「チャイルドロック機能」、および、キッチンや洗面台などの収納扉やコンセントなどへのいたずらを防ぐための後付けタイプの「チャイルドロック用製品(セイフティグッズ)」を対象とします。また、もともとチャイルドロックとうたわれていなくても、子どもの不慮の事故の防止に役立つものについては、調査研究の対象としました。

事故ひやりはっと事例の分析

チャイルドロックがどのような場面で事故防止に役立つかを検証するために、事故ひやりはっと事例の分析を行いました。「医療機関で収集した事例500件」※1(0〜6歳)と幼稚園・保育園児の「保護者アンケートで収集した事例285件」※2 について事故の種類ごとに分類したところ、以下のようになりました。

※1「医療機関で収集した事例500件」
2006年11月から2009年8月までに医療機関受診時に収集した事例から、7歳未満の事例500件を無作為抽出したものである。

※2「保護者アンケートで収集した事例285件」
2008年10〜11月にアンケートを行った。福井県敦賀市の幼稚園・保育園計3園の在園児の保護者に対し、チャイルドロックの使用状況、事故ひやりはっと体験などについて回答を求めた。349名から回答があり、事故ひやりはっと事例285件を得た。

図1 事故ひやりはっと事例の分類

さらに事故の種類ごとに詳細な読み込みを行い、チャイルドロックで防止できると思われる事例50タイプと具体的な対策38項目を整理しました。数例を紹介します。


■ 事故の種類―階段からの転落


まず、階段からの転落について詳細をみてみましょう。年齢別の件数としては、以下の図2のようになりました。

図2 階段からの転落?年齢別・内容別件数 ※8歳で「人・モノが関与しない事例」1件あり

<考察>・階段からの転落事故は満1~2歳児で多く発生している。・医療機関受診事例とアンケート事例の年齢分布は同じ傾向を示している。・医療機関受診事例の8割、アンケート事例の9割以上は、「人・モノが関与しない転落」となっている。また、満0~6歳のいずれの年齢でも起きている。

ここで「人・モノが関与しない転落」(図2中で青で示した部分)の詳細を見ますと、表1の通り、子どもの階段の昇降を制御しているなかで起きた事例が、15件あることがわかりました。それらの事例をプロットしたのが図3です。

表1 【「人・モノが関与しない転落」の詳細】 青字:医療機関受診 赤字:アンケート

図3 チャイルドロックで防げると思われる事例「大人が気付かないうちに子どもが一人で階段を昇り降りし、転落した(転落しそうになった)」の月齢別プロット

チャイルドロックで防げると思われる事例と対策が必要な時期 図4 チャイルドロックが必要な時期―「人・モノが関与しない転落」

アンケート調査からみるチャイルドロックに対する意識

・ 階段、段差の手前にゲートなどを設置する対策について、約74%が必要性を感じている。そのうち、約66%が実際に対策を講じ、約97%が効果があったと考えている。


■ 事故の種類―われもの・刃物の危険


次に、われもの、刃物などの危険物について同様に見てみます。年齢別の件数としては、以下の図5のようになりました。

図5 われもの・刃物の危険?年齢別・内容別件数

<考察>・医療機関受診事例は少ない。・アンケート事例では満0~3歳児に多い傾向が見られる。

危険物の詳細を見ますと、表2の通り、収納中の刃物に関する事例が、21件あることがわかりました。それらの事例をプロットしたのが図6です。

表2 【「われもの・刃物の危険」の詳細】 青字:医療機関受診 赤字:アンケート

図6 チャイルドロックで防げると思われる事例「収納中の刃物を子どもが取り出した」の月齢別プロット

チャイルドロックで防げると思われる事例と対策が必要な時期 図7 チャイルドロックが必要な時期―「われもの・刃物の危険」

アンケート調査からみるチャイルドロックに対する意識

・ キッチンの包丁差しにロック機能が付いていると答えた割合は約15%で、そのうちロック機能を使用したのは約63%、使用しなかったのは約37%となっている。
使用しなかった理由は、必要を感じない約50%となっている。

・ キッチンの収納にチャイルドロックを設置する必要性について、約65%が必要だと感じている。そのうち、約65%が実際に対策を講じ、約94%が効果があったと考えている。

・ キッチンの入口にゲートを設置する必要性について、約45%が必要だと感じている。
そのうち、約54%が実際に対策を講じ、約95%が効果があったと考えている。

・ リビングの収納にチャイルドロックを設置する必要性について、約56%が必要だと感じている。そのうち、約68%が実際に対策を講じ、約97%が効果があったと考えている。

このように、事例分析からチャイルドロックで防止できると思われる事例対策が必要な時期が明らかになりました。

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