キッズデザイン・ラボ

ベビーカーおよび車いす使用に安全な通路設計の研究 第4回キッズデザイン賞受賞作品(ユニバーサルセーフティ部門) 日本大学・日本福祉大学・積水ハウス株式会社

感覚的に平坦だと思っていても、
わずかな傾斜があるだけで手放したベビーカーは動きはじめてしまいます。
ベビーカーを利用する際の安全な通路傾斜についての研究を行いました。

緩やかな傾斜の危険事例

2009年、駅のホームにて、車いすに乗った女性が車いすごと線路に転落し、死亡するという痛ましい事故が発生した。
介助者がいったん車いすから手を離し、エレベーターのボタンを操作している間に車いすが動きだし、ホームから線路に転落したというもの。介助者が車いすのストッパーをかけ忘れたこともあるが、平坦であるはずの線路に緩やかな傾斜がついており、その傾斜が原因となったと考えられる。

今回の事故は車いすによるものであったが、同様のことはベビーカーにおいても考えられる。事実、街中を調査したところ、下写真のような危険事例が散見された。このような背景から、ベビーカーや車いすを利用する際の安全な通路傾斜についての研究に取り組んだ。

事例

実験概要

下に示すような実験体を用意し、床面の傾斜角度を徐々に大きくしていき、静止させたベビーカー・車いすが動き出す角度の計測を行った。
路面状況およびベビーカー・車いすの実験条件を以下に示す。

路面状況
車両の向き
ベビーカー状況 車いす状況

実験結果

実験概要で示した組み合わせのうち、「標準A型のベビーカー・ざらつき床材」と「介助車いす・床材凹凸」における実験結果を以下に示す。
他の組み合わせにおいてもほぼ同様の傾向が見られ、傾斜に対して前輪が傾いていると1?2度の傾斜で車両の動き出しが見られた。

ざらつき床材 ベビーカー標準A型
床材凹凸 介助車いす
実験により得られた知見 (1)車いすの方がベビーカーよりも動き出す傾斜角度は小さい。 (2)ベビーカー・車いすともに、傾斜に対して車両が平行になっている場合は車輪の向きによらず動きにくい。 (3)車両が傾斜側に傾けば、車輪の位置がどこにあっても少ない角度で動き出す。 (4)車両の向きによっては傾斜角度が1?2度で動き出す可能性がある。

まとめ

停止させたベビーカー・車いすの車輪の向きによっては、1?2度程度の緩やかな傾斜であっても動き出す可能性がある。
■ユーザー側への注意喚起 ■都市計画・建築への注意喚起

※この研究成果は、日本大学、日本福祉大学、積水ハウス株式会社に帰属します。

※この研究について、さらに詳しいことを知りたい方は、下記の論文をご覧ください。
『ベビーカーの街中利用に関する基礎的調査 車いす・ベビーカー使用における環境整備に関する研究』PDF(0.7MB)

※キッズデザイン賞のリサーチ分野の受賞作品は、原則としてそのデータを含めた成果を公開し、社会が共有することでキッズデザインの普及に役立てることを意図しています。
そこで、「キッズデザイン・ラボ」では、キッズデザイン賞リサーチ部門受賞作品の成果をご紹介しています。

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